円筒ころの対数クラウニング最適形状計算
事例s10, 事例s17では、φ12×12円筒ころのフルクラウニング時の最適クラウニング形状を調査しましたが、ここでは、この事例のクラウニングを、対数クラウニングに変えて最適クラウニングを調査します。
接触解析手法には「EPCスライス法」を使用します。
事例s17同様、内輪は転走面直径(溝径)がφ12、転動体直径φ20、転動体個数1個の軸受での内輪寿命を比較するものとします。ころ分割数は、事例s17の結果より、200分割とします。
以下は、RPBPACSで取り扱う対数クラウニングについての説明です。
対数クラウニング曲線は、軸方向位置をyとして、次式で表されます(*1)。
(1)
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:ころ有効長さ
E:ヤング率
ν:ポアソン比
Q:ころ荷重
Zm:ころ有効長さ端部でのドロップ量

(*1)藤原宏樹,山内和人, 「円筒ころ軸受における部分円弧クラウニングと対数クラウニングの実験的比較」機論, 74巻, 745号, 2008, 216-222.
式(1)から、対数曲線は 荷重Qを仮定して、K1,K2,Zmの3つのパラメータ表現されていることがわかります。
K2は直線部長さを決定しており、K2=0.5なら、ころ有効長さの半分が直線、K2=1なら、直線部がない全領域対数クラウニングのころになります。
K1は、K2とZm(ころ有効長さ端部でのドロップ量)で決定された両端の2点を通る対数曲線形状を与えていると言えます。
このパラメータを用いて荷重Q=13.72kN(実験に使用した荷重)かつ、ころ直線部長さは半分(K2=0.5)という前提で、K1,Zmを変化させて、最適対数クラウニング形状を調査します。
<解析結果>
図1は、K1=1としてころ端部のドロップ量を3水準(0.01, 0.015, 0.02)変えたときの結果です。


(a)接触面圧 (b)ドロップ量
図2 対数曲線形状(K1)を変えたときの接触面圧とドロップ量
図2(a)では、K1が大きくなるにつれ、エッジ部手前で面圧が低下するもののエッジ部では大きなエッジロードが発生しています。このときの曲線形状(ドロップ量)は(b)のようにK1が大きくなるにつれ、軸方向位置-5.5〜-3.0の範囲のドロップ量が大きくなっていますが、基本的にドロップ量が不足していると曲線形状を変えても、大きなエッジロードが発生してしまうと考えられます。(なお、K1=3とK1=10はほぼ同じ結果になりました)
図3にEPC法による寿命計算結果を示します。

図3 EPC法による寿命計算結果
図3の結果より、K2=0.5の前提では、K1=1,Zm=0.015の場合に寿命が最大になり、この値はフルクラウニングでの最適値であるV3の寿命値を上回る結果が得られ、対数クラウニングの優位性が確認できました。
(注)図中のV3の結果は、事例s17の200分割EPC法計算結果(PCD=32,ころ径=20)です。
上記結果より、対数クラウニングを設定する際には、K1=1として(K1=1の場合に理論的にフラットな面圧分布が得られる)、Zm値を調整して設定するのが良いように考えます。下記文献(*2)には、K1,K2,Zmをパラメータとして、もう少し詳細な検討結果が掲載されています。その結果、接触面圧3GPa程度の条件では、寿命を最大にする対数クラウニングの最適値として、K1=1.065,
K2=0.982, Zm=10.799という値が算出されており、K1はほぼ1となっています。このデータからも、K1=1は妥当な設定と考えられます。
(*2)藤原宏樹,川瀬達夫, 「ころ軸受の対数クラウニングとその最適化手法」機論, 72巻, 721号, 2006, 338-345.
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