線接触時のEHL解析(カットクラウニングころ)
本事例では、線接触時の解析事例として、TEHLACのEHL解析結果をDRY時の解析であるNOCPAC解析結果と比較します。解析モデルは以下のようにカットクラウニングがついた円筒ころ(φ12x12)とクラウニングなしの円筒内輪(φ20x20)を使用します。モデル作成には3D-CADを使用し、形状データをインポートします(このため本解析ではNOCPACが必要です)。

図1 カットクラウニングころ(φ12x12)と円筒内輪(φ20x20)

<解析結果>
(1)接触面圧
TEHLACによるEHL接触面圧解析結果と、NOCPACによるDRY時の接触面圧解析結果の比較図を、以下に示します。

(a)x方向接触面圧 (b)y方向接触面圧
図2 接触面圧計算結果(DRYとEHL)
面圧はY座標±4mmの間に発生しており、負荷荷重が小さいため、直線部のみで接触していることがわかります。
DRYとEHLの解析結果を比較すると、X方向に関しては、かなり様相が異なっています。EHLでは荷重が小さいためか、顕著な圧力スパイクが発生していないというか、前方へずれてきているとも考えられます。
Y方向に関しては比較的一致していますが、カットクラウニングころの直線部の端部で、様相が異なっています。DRYでは、直線部端部で面圧が上昇していますが、EHLでは直線部端部の直線部の最後の位置からひとつ内側に入った位置で面圧が最大となり、端部では面圧が低下しています。これについては次項「(2)油膜形状」で考察します。この結果から、油膜が介在すると、エッジロードは緩和されると言えます。
(2)油膜形状
油膜形状計算結果を以下に掲載します。

(a)X方向油膜厚さ (b)Y方向油膜厚さ
図3 油膜厚さ計算結果(EHL)
図3(a) X方向油膜厚さのグラフでは、負荷が少ないためか、事例e1と比べて、フラット部が少ないことがわかります。
図3(b) Y方向油膜厚さのグラフでは、直線部の端部 Y=±4mmの位置で、油膜厚さが減少しています。これは流体のX方向流れの影響で直線部端部が盛り上がり、面圧を保持する現象が生じていると考えられます。このため、(1)項のように、面圧はY方向メッシュで、一つ直線部内側にずれた位置で最大となり、図2
(b) のような接触面圧分布になると考えられます。
なお、線接触のEHL解析では、点接触とは異なり、上記のようにエッジ部で盛り上がりが発生し、油膜厚さが減少するため、重荷重では、エッジ部の節点が浮上することができないという状況に陥ることが多々あります。本例のV1ころでは、クラウニング半径が小さいため、直線部とクラウニング部のつなぎ部を超えて接触領域がクラウニング部にはみだしてくる、という状況になると、つなぎ部で浮上できず、解が得られなくなります。実際の現象としては、この部位で、混合潤滑あるいは境界潤滑が生じやすいと考えられます。
(3)3Dグラフ
参考までに、EHL解析結果の3Dグラフを掲載します。

(a)3D接触面圧 (b)3D油膜厚さ
図3 3D接触面圧と3D油膜厚さ(EHL)
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