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解析事例−c3EXAMPLE-c3

多点LP法による転がり疲労寿命値の実験整合性(ころエッジロード)

事例c2のφ12×12円筒ころとφ20×20円筒との接触問題を取り扱います。
円筒ころには各種クラウニングを付与し、多点LP法による計算結果と実験結果を比較検証します。本事例はSTLE(The Society of Tribologists and Lubrication Engineers)に掲載された論文データ(*1)を使用しています。

(*1)" Improved Method of Roller Bearing Fatigue Life Prediction Under Edge Loading Conditions ", H. Nagatani, Tribology Transactions, Vol.53, Issue5, pp.695-702 (2010)

表1にクラウニング形状と荷重並びに実験結果(杉浦ら)を示します。実験は事例c2と同様、Φ12×12の円筒ころとφ20×20の円筒の転がり疲労を取り扱います。クラウニングはフルクラウニングで、その半径が、300, 480, 890, 1200, ∞ (mm)の5種類、荷重は9.8, 11.76, 13.72, 17.35 (kN)の4種類ですが、図1に見られますようにサンプルV1〜V5では、一定荷重を負荷して、寿命が最大になるクラウニングを調査しています。

    表1 φ12×12円筒ころの転がり疲労耐久試験結果(*)
   
(*)Sugiura, I., Itoh, S., Tsushima, N., and Muro, H., Investigation of Optimum Crowning in Line Contact Cylinder to Cylinder Type Rolling Contact Fatigue Test Rig, Rolling Contact Fatigue Testing of Bearing Steels, STP771, Ed., J. J. C. Hoo, p.136-149, ASTM, 1982
または、Itoh, S., and Sugiura, I., Investigation of Optimum Crowning in Line Contact Cylinder to Cylinder Type Rolling Contact Fatigue Test Rig, NTN Technical Review, No.48 (1982), pp.18-26.

面圧メッシュ: 基本メッシュが48×48で、細分割が片幅0.1mmのx方向不均一分割(7分割)
応力メッシュ: x方向0.1mm均等分割+応力集中部0.01mm均等分割
        y方向0.001mm均等分割
        z方向0.0025mm均等分割です。


<解析結果>

(1)接触面圧
サンプルV1〜V5の代表的な接触面圧解析結果の3Dグラフを以下に掲載します。(不等間隔メッシュであるため、市販の3Dグラフソフトを用いて作成しています)

 
           (a) V1                        (b) V2

 
           (c) V3                        (d) V5

                 図1 接触面圧計算結果(No.1, 2, 3, 5)

図1より、V1からV5へ向かうにつれ、エッジロードが大きくなっていることがわかります。y方向中央位置での接触面圧を重ねて書くと図2のようになっています(ころの長さ方法の半分だけをプロットし、縦軸は10000MPaまでを表示しています)。


図2 接触面圧計算結果(V1〜V5)

(2)表面下応力(τ0
転がり疲労寿命計算に使用する表面下剪断応力τyzによる最大応力振幅τ0のx方向分布を図5に示します。事例c2と同様、τ0はx方向位置におけるy-z平面内のτyzの最大値に対応します。


図3 最大応力振幅τ0のx方向分布(V1〜V5)

図3より、V1からV5へ向かうにつれ、ころ中央部の表面下応力が低下し、両端部の表面下応力が増加していることがわかります。

表2に多点LP法で使用する応力値τ0とその発生深さz0の結果をまとめて示します。ころ両端部で発生する最大応力の深さは浅くなっていることがわかります。

表2 応力とその発生位置
V1 V2 V3 V4 V5 V6 V7 V8
τ0 (MPa) 1145 1044 947 916 1141 1132 893 800
z0 (mm) 0.1500 0.1375 0.1250 0.1200 0.0825 0.1475 0.1175 0.1050



(3)転がり疲労寿命計算結果
得られた結果を用いて、多点LP法による転がり疲労寿命計算を行った結果を実験結果とともに図4に示します。転がり疲労寿命は図3の調査から、ころ両端部の2ヶ所ところ中央部の1ヶ所の合計3か所の寿命を統計的に合成して算出しています。また、本来の多点LP法では、応力均一化係数を使用しますが、NOCPACでは応力均一化係数を使用していません。しかし、応力均一化係数を使用しなくてもかなり良い精度で転がり疲労寿命を予測することができます。


図4 多点LP法による転がり疲労寿命計算結果と実験結果

図4より、多点LP法による転がり疲労寿命値は実験結果の傾向を非常によく捉えていることがわかります。ただ、寿命の絶対値を求めることは難しく、実験結果より小さい値となります。ちなみにV1の結果をROBPACSで使用している寿命理論で算出(ころを内輪に見立てて、ころ本数=1、PCD=24(*)とした内輪寿命)すると0.93×106revとなり、多点LP法の0.69×106revに近い値が得られています。

(*) ここでは、φ12の転走面(溝径)を有する内輪とφ12転動体の軸受(PCD=24)として内輪寿命を算出しています。この事例では、実際の軸受を使用しているわけではありませんので、ROBPACSで計算するには、無理があります。ROBPACS計算値は参考値として、ご覧ください。

なお、V5のようにエッジロードがきつい場合、実現象では、エッジ部の塑性変形により接触面圧や表面下応力が緩和されると考えられますが、多点LP法や転がり疲労寿命理論(LP理論)では、弾性変形を前提として寿命を導いているため、表面下応力値が実際より大きく計算されてしまい、実際より寿命を小さく見積もってしまいます(寿命は安全側に見積もられます)。


以上のように、多点LP法を使用することにより、転がり疲労寿命を最大にするころクラウニング最適値を得ることができます。

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